はじめに|「減量=トレーニングも変えるべき」理由
食事を変えるだけでは、減量はうまくいかない。
それと同じくらい重要なのが「トレーニングの設計」だ。
減量期はエネルギー摂取が制限されるため、筋肉にとっては不利な環境。
この状態で、無計画にトレーニング量を減らしたり、強度を落とすと──
筋肉は容赦なく削られていく。
体重が落ちたとしても、「ただ痩せただけ」になってしまうのはそのためだ。
引き締まった体を作るために大事なのは、“落とすこと”より“守ること”。
そのための戦略が、減量中のトレーニングには必要だ。
1. 減量期の目的別トレーニング戦略

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筋肉を残す
減量中でも「筋肉に必要だ」と身体に思わせるには、それなりの刺激が必要だ。
おすすめは、中〜高重量での基本種目中心のメニュー。
ボリュームを極端に削るより、「強度の確保」と「正確なフォーム」を意識しよう。
- ベンチ・スクワット・デッドなどのコンパウンド種目
- 回数は6〜10回、セット数は最低限に絞る
- フォームを崩さず、神経系の刺激をキープ
代謝を支える
日常の活動量(NEAT)も減量の鍵。
トレーニング外の「歩く・立つ・階段を使う」などの意図的な活動を増やすことで、
代謝を保ちながら、過剰な有酸素に頼らない減量ができる。
脂肪燃焼を加速
有酸素運動は補助的に使うのがベスト。
おすすめは筋トレ後の低強度有酸素(LISS)または、週1〜2のHIIT。
心肺機能向上にもつながり、次のバルク期にも好影響を与える。
2. 減量中の“やりすぎ”に注意するポイント

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トレーニング、有酸素、カロリー制限。
この3つをフルに詰め込むと、確実に身体は悲鳴をあげる。
- 疲労が抜けない
- トレーニング強度が維持できない
- 睡眠の質が落ちる
こうなると、筋分解が進み逆効果。
減量期こそ、「回復の設計」が最重要。
週に1日は完全休養日を設け、睡眠・ストレス・栄養状態をトータルで整える意識を持とう。
3. 減量期におすすめのトレーニング例(分割パターン)

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週3〜4回のライトスケジュール
トレーニング初心者〜中級者、または仕事が忙しい人、疲労を感じやすい人におすすめ。
頻度は抑えつつ、強度はしっかりキープすることで、筋肉を守りながら減量が進められる。
例:
- 月曜:上半身(プレス系中心)+軽い有酸素
- 水曜:下半身(スクワット or ヒップヒンジ種目)
- 金曜:全身(フォーム確認+可動域を重視した軽めの日)
ポイント:
- 種目数は多くなくてOK(1部位あたり1〜2種目)
- 疲労を持ち越さないことを最優先に
- セット間の休憩や睡眠の確保を意識する
週5〜6回の高頻度パターン
上級者や、十分な回復ができる人に向いたプラン。
分割で部位ごとの疲労を分散しながらトレーニングを継続する。
例(Push/Pull/Legs):
- 月曜:Push(胸・肩・三頭)
- 火曜:Pull(背中・二頭)
- 水曜:Legs(下半身)+有酸素
- 木曜:休み or 軽いストレッチ/歩行
- 金曜:Push
- 土曜:Pull or Legs
- 日曜:完全休養 or 低強度有酸素
有酸素の入れ方:
- 朝の空腹時に20〜30分のウォーキング(週2〜3回)
- 筋トレ後のクールダウンとして軽く実施
- HIITは週1でOK(疲労の管理が大前提)
ポイント:
有酸素を入れすぎて筋トレのパフォーマンスが落ちないよう注意
疲労の蓄積には十分注意。
頻度が高いほど「疲労管理」が鍵になる
睡眠・食事・マッサージ・サウナなど回復も“トレーニング”の一部として捉える
まとめ|“落とす”だけじゃない、“残す”ための設計を

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減量期はただ体重を減らす時間ではない。
本当にやるべきことは、「守り抜く」ことだ。
筋肉を守るトレーニング。
代謝を支える生活習慣。
やりすぎず、焦らず、整えながら進むこと。
その先には、“削られた”体ではなく、“選び抜かれた”体が残る。
減量期こそ、自分の身体と丁寧に向き合う時期。
トレーニングの“質”と“回復力”をコントロールする力が、そのまま理想の仕上がりへとつながっていく。
[…] →減量中のトレーニング設計ガイド(Training) […]