加工油脂|“植物性”の落とし穴に気づけるか?

“植物性”の言葉に、安心していないか?


──植物性だから、安心。
──揚げ物じゃないから、大丈夫。

でも、それが「整う油」かどうかは別の話だ。

糖質は気にしている。
プロテインも飲んでいる。
それなのに、なんとなく選んでしまう──

・市販のパンやクッキー
・プロテインバー
・カロリー控えめの惣菜や冷凍食品

それらに、ひそかに使われている油の正体。
それが、「加工油脂」だ。


加工油脂とは?|“便利さの裏側”にあるもの

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加工油脂とは、植物油を加工・精製・固形化した油脂のこと。
ショートニング、ファットスプレッド、植物油脂などの名前で、原材料表示に登場する。

目的ははっきりしている──

  • 常温で固まって、加工しやすい
  • 酸化しにくく、日持ちする
  • サクサク、しっとりとした食感が出る
  • コストが安く、量産向き

つまり、食品メーカーにとってはとても“使いやすい油”
だがその使いやすさは、私たちの身体の“整いにくさ”と裏表になっているかもしれない。

・加工油脂とトランス脂肪酸の関係

  • 加工油脂=加工された“使いやすい油”のこと。
    (食品を作るために、植物油を固めたり、長持ちさせたりした油)
  • トランス脂肪酸=その中に含まれる“体に悪影響を与える成分”。

加工油脂は便利だけど、その中にトランス脂肪酸が含まれていることもある。
だから、油そのものと、その中身の両方に目を向けることが大切。


整うどころか、乱れる?|加工油脂が抱える課題

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加工油脂に含まれる脂質は、体にとって“クセのあるもの”が多い。

オメガ6過多による炎症リスク

加工油脂の原料は、主に大豆油・コーン油・パーム油など。
これらはオメガ6脂肪酸が非常に多い

オメガ6そのものは必要な脂肪酸だが、摂りすぎると炎症を促進しやすく、
肌荒れ、関節の違和感、ホルモンバランスの乱れなどの一因になりうる。

酸化油脂による代謝ストレス

加工・加熱・長期保存を経た油は酸化しやすく、
それが体内に入ると、細胞のストレス負荷や動脈硬化リスクを高める可能性がある。

トランス脂肪酸を含むことも

一部の加工油脂(特にショートニングやファットスプレッド)は、
水素添加によって“トランス脂肪酸”を含んでいることがある

この「加工油脂の中に含まれる成分」が、さらに身体のバランスを崩す要因になる。

詳しくは→トランス脂肪酸|美味しいのに、身体が重い理由


「ゼロ表示」を鵜呑みにしない|見るべきは“裏面”

最近では「トランス脂肪酸 0g」と表示されている商品も増えている。
しかしこれは、100gあたり0.3g未満なら“ゼロ”と表記できるというルールに基づくもの。

つまり──

ゼロと書かれていても、ゼロとは限らない。

だからこそ見るべきは、栄養成分ではなく原材料表示

チェックしたいキーワード:

  • ショートニング
  • ファットスプレッド
  • 植物油脂
  • 加工油脂
  • 硬化油

これらが含まれている食品には、加工油脂が使われている可能性が高い
“ゼロカロリーの甘さ”に注意するのと同じように、
“植物性”の表示にも注意を向けてみよう。


整える選択肢は、もっとある

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避けるだけが正解ではない。
整えたい身体にとって必要なのは、どんな脂質を摂るかという“選ぶ力”だ。

たとえば──

  • オリーブオイル(特にエキストラバージン)
  • アボカドオイル
  • ギー(精製バター)
  • ココナッツオイル(中鎖脂肪酸)

毎日の料理用油を切り替えるだけで、
肌、体調、集中力に“じわじわとした変化”が現れることもある。


「避ける」より、「気づく」から始めよう

加工油脂は、パンやスナックだけでなく、
“ヘルシーそうな食品”にも普通に使われている。

完全に排除するのは難しい。
でも、「どこにあるか」を知っていれば、頻度や量をコントロールすることができる。

買い物のときに、裏面をひっくり返す習慣。
いつもの惣菜を、たまには自炊に変えてみる柔軟さ。
プロテインバーの中身を、少し気にしてみる意識。

整える力は、“油断しない”ところから育っていく。

「整う油」は、選べる

加工油脂を完全に避けるのは難しい。
でも、“知って選ぶ”ことは、誰にでもできる。