トランス脂肪酸|美味しいのに、身体が重い理由

──その油が、回復を妨げる。


揚げたてのポテト。
サクサクのパイ。
口溶けのいいパンやスナック。

その“軽さ”や“香ばしさ”が、私たちを惹きつける。

でも、ふと思う──
それ、何の油でできているんだろう?

ジムに通い始め、体に気を遣うようになったはずなのに、
コンビニのパンやお菓子、なんとなく選んでいないだろうか。

名前を聞いたことはあっても、正体を知らないもの。
それが「トランス脂肪酸」かもしれない。


トランス脂肪酸とは?|見えないけれど、確かに存在する“油”

トランス脂肪酸は、脂の一種。
植物油に水素を加えて人工的に固めたときに生まれる、加工された脂肪酸だ。

なぜ使われるのか?
答えはシンプル──

  • 安い
  • 酸化しにくい(=日持ちする)
  • 食感がよくなる(サクサク、しっとり)

だから、パン・ドーナツ・スナック・マーガリン・冷凍食品・一部のプロテインバーまで、
あらゆる加工食品に“便利な素材”として使われてきた。

でも便利さの裏で、私たちの体の中では、確実に“静かな炎症”が進んでいく


整えるどころか、乱される|トランス脂肪酸の影響

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トランス脂肪酸が恐れられる理由は、その“積もるダメージ”にある。

  • 悪玉コレステロール(LDL)を増やす
  • 善玉コレステロール(HDL)を減らす
  • 細胞膜を硬化させ、炎症を起こしやすくする
  • インスリン感受性を下げて、脂肪が燃えにくくなる

見た目の変化はすぐには出ない。
でも、体の内側では確実に“整わない身体”が育っていく。

筋トレをしても疲れが抜けにくい。
肌荒れが気になる。
集中力が続かない。

それ、もしかすると油の質が邪魔しているのかもしれない。


「どこに入ってる?」が分かれば避けられる

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見るべき表示のポイント

日本では「トランス脂肪酸〇g」とは書かれていない場合が多い。
だからこそ、原材料表示の中から“サイン”を読む必要がある。

要注意ワード:

  • ショートニング
  • ファットスプレッド
  • マーガリン
  • 加工植物油脂
  • 硬化油
  • (英語で “partially hydrogenated oil” と書かれることも)

これらがあれば、高確率でトランス脂肪酸が含まれている。

そして、もう一つ知っておきたい事実──

「トランス脂肪酸ゼロ」と表示されていても、100g中0.3g未満なら“ゼロ”と表記できる。

つまり、ゼロ=完全にゼロではない

「毎日少しだけ」でも、積もれば炎症になる。


「じゃあ、実際にどう気をつければいい?」
最後に、“整えるための向き合い方”をもう一度整理しよう。

整えたいなら、“油断しない”ことから

トレーニーにとって大事なのは、何を摂るかだけじゃない。
何を“摂らないようにするか”も、身体の質を決める。

  • 揚げ物を外食に任せっぱなしにしない
  • パンやスナックを“疲れた時のご褒美”にしすぎない
  • 家にマーガリンを置かない

どれも、小さな選択かもしれない。
でも、その積み重ねが、
炎症のない身体・すっきりした肌・澄んだ集中力を育てていく。


「太らない」ではなく、「整える」ために

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トランス脂肪酸は、味も香りもクセがない。
だから、気づかないまま摂り続けてしまう。

けれど、それは“見えない乱れ”を少しずつ積み重ねる行為でもある。

トレーニングで身体を磨くなら、
食事でその努力を台無しにしない選択もしたい。

整えるために、知って避ける。
見えない敵に、気づける力を育てよう。