「そのバーベル、なぜ握った?」

──過去の自分との約束を、忘れていないか?

筋トレが続かない日がある。
やる気が出ない。鏡を見ても変化がない。
意志が弱いわけじゃない。
ただ、“理由”を忘れているだけだ。


原点を思い出せ

きっかけは、ほんの小さな違和感だったはずだ。
失恋した夜。自分の写真に絶望した朝。
「このままじゃ終われない」──そう思った瞬間が、確かにあった。

最初の理由は、鮮明だった。
見返したかった。変わりたかった。かっこよくなりたかった。

あの日、悔しさと衝動の中でバーベルを握った。
それがすべての始まりだった。


成長は、理由を超えていく

時間が経てば、傷は癒える。
新しい恋人ができ、環境も変わる。
気づけば、最初の“理由”はもうない。
筋トレを続ける意味も、ぼやけていく。

だが、ある日ふと思う。
今の彼女が惹かれたのは、完成された体ではなかった。
努力する姿勢だった。
その努力を手放せば、また何かを失う気がした。

始めた理由は消えても、続ける意味は残る。
努力し続けること自体が、新たな理由になる。

意志が折れるのではない。
動機が薄れていくだけだ。


理由を思い出せ。それが最強の燃料になる

Photo by Victor Freitas on Unsplash

続かない理由を、環境や性格のせいにするな。
最大の燃料だった“動機”が、静かに消えていくだけだ。

なぜバーベルを握ったのか。
あの日の悔しさと決意。
それこそが、自分を突き動かしていた。


「目標」は未来との約束。「理由」は過去との約束

目標とは、未来の自分との契約である。
「10%まで絞る」「80kgまで増やす」
それは進むべき方向を示してくれる。

だが、人を本気にさせるのはもっと深いものだ。
──過去の自分との約束である。

悔しさに眠れなかった夜。
情けなさに涙をこぼした夜。
「変わりたい」と心から願った自分を、裏切らないこと。

あのときの自分に、今の自分は応えているか?


弱さと向き合う。それが、鍛えるということ

「強くなりたい」と願う裏には、かならず弱さがある。
その弱さを見て見ぬふりせず、引き受けて生きること。
それが、強さである。

筋トレは、ただ肉体を鍛える行為ではない。
弱さと向き合い、静かに積み重ねる意志の訓練である。

問い直せ。なぜ始めた?


バーベルを握り続けろ

Photo by Victor Freitas on Unsplash

面倒な朝がある。やめたくなる夜がある。
それでも、自分に問い続けろ。

なぜこの道を選んだのか。
誰のために、今もバーベルを握っているのか。

理由を思い出せれば、人はまた立ち上がれる。
筋トレは、生き方と向き合うための道具だ。

その手を、離すな。