GOLD’S GYM──筋トレ文化を生んだ聖地の物語

ロサンゼルス・ベニスから始まった、トレーニーの永遠の象徴。


カリフォルニア州ロサンゼルス、ベニスビーチ。
潮風に混じって、鉄のにおいが漂う。
そこに、世界中のトレーニーが一度は訪れたいと憧れるジムがあります。

今では筋トレ文化の聖地として知られるGOLD’S GYMも、始まりはごく小さな施設でした。
1960年代、まだ「筋トレ=スポーツ選手や一部のマニアのもの」という時代に、ここは生まれます。
海沿いの開放的な街に、ひとつの情熱が芽吹いた瞬間でした。


1. 誕生と創業者ジョー・ゴールド

GOLD’S GYMをつくったのは、ジョー・ゴールドという男。
元アメリカ海兵隊員であり、自らもボディビルダーとして活動していた人物です。

彼は軍務や映画スタジオの仕事を通じて、強さと美しさを兼ね備えた体づくりに魅せられます。
当時、ボディビルのための本格的な設備を備えたジムはほとんど存在せず、多くの人がガレージや裏庭でトレーニングをしていました。
ジョーは「仲間が集まり、切磋琢磨できる場所」をつくろうと決意します。

1965年、ロサンゼルス・ベニスに開いたそのジムが、後に世界のトレーニーを惹きつけることになるGOLD’S GYMの第一号店でした。


2. アーノルドが訪れた日──黄金期の到来

1968年、ひとりの若き移民がジムの扉を開きます。
オーストリアからアメリカへ渡ってきた、20代のボディビルダー。
その名は、アーノルド・シュワルツェネッガー。

彼はここで、フランコ・コロンブ、デイブ・ドレイパーなど、後に伝説となる仲間たちと出会います。
互いを高め合うトレーニングの日々は、やがて映画『Pumping Iron(アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男)』を通じて世界に知られることになります。

この作品をきっかけに、GOLD’S GYMはMecca of Bodybuilding(ボディビルの聖地)と呼ばれるようになりました。
ただのトレーニング施設ではなく、筋肉を愛する者たちの文化発信地となったのです。


3. 聖地が作った筋トレ文化

Photo by Colynary Media on Unsplash

GOLD’S GYMが特別なのは、設備や知名度だけではありません。
ここでは、筋肉を鍛えることそのものが文化として息づいていました。

トレーニング方法の工夫、栄養や食事の情報、互いを励まし合う空気。
初心者もトップビルダーも同じ空間で汗を流し、言葉を交わすことで、知識も情熱も自然と広がっていきました。

世界中から訪れるトレーニーがこの場で刺激を受け、自国に帰って同じ文化を広めたことで、GOLD’S GYMの名はさらに広がっていきます。


4. 世界展開と日本上陸

1970年代後半から90年代にかけて、GOLD’S GYMはアメリカ国内だけでなく海外へも進出します。
1990年代には日本にも上陸。
当時の国内フィットネスはエアロビクスやマシントレ中心で、ボディビルや本格的な筋トレはまだ一部の愛好家のものでした。

そんな時代に登場したGOLD’S GYMは、本場のトレーニング文化を体感できる場所として注目を集めます。
今では全国各地に店舗があり、日本のトレーニー文化を支える存在となっています。


5. ゴールドジムの象徴──黒と金

Photo by Ambitious Studio* | Rick Barrett on Unsplash

黒地に金色のロゴ。
この配色は、世界中のトレーニーにとって特別な意味を持ちます。

ロゴの中央にはバーベルを構えるマスキュラーなシルエット。
これは「強さと美しさを追求する象徴」であり、着る者の背筋を自然と伸ばしてくれる存在です。

ウェアやグッズは、単なるトレーニング用品ではなく、聖地の一員である証として愛されています。


6. 今も変わらない聖地の価値

創業から50年以上が経った今も、GOLD’S GYMの本質は変わっていません。
最新のマシンや設備が並びながら、昔ながらのバーベルやダンベルも大切に残されています。

それは「筋トレは流行ではなく、積み重ねの文化である」という信念の表れ。
この空間に足を踏み入れた瞬間、世界中のトレーニーが同じ筋肉を愛する心でつながっていることを感じられるはずです。


7. あなたの街のゴールドジムへ

もしあなたがまだGOLD’S GYMに足を運んだことがないなら、ぜひ一度その空気を感じてみてください。
最寄りの店舗でも、本場ベニスビーチでも構いません。
鉄の音、汗の匂い、互いを鼓舞する声──そのすべてが、半世紀以上続く文化の一部です。

歴史を知って訪れるジムは、きっと違って見えます。
そこには、あなたのトレーニングを新しいステージへ導く力があるはずです。


参考文献・参考サイト


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