「増量=何でも食べる」はもう古い
バルクアップ。
それは「食べて、動いて、太ること」だと誤解されがちだ。
しかし本来は、
“筋肉という資産”を増やすための設計期間。
減量が「削ぎ落とす美学」だとすれば、
バルクは「足して、育てる建築」だ。
体を大きくするために必要なのは、
ただのカロリーではない。
筋肉に届く“質のある栄養”、
そして伸びしろを引き出す“攻めのトレーニング”。
食べることも、休むことも、鍛えることも、
すべては「積み上げるため」にある──。
トレーニング面の設計|“伸ばす準備”が整っている期間

Photo by Tyler Chandler on Unsplash
バルクアップ期は、トレーニングにとって“追い風”が吹いている時間だ。
カロリーに余裕がある分、体は回復しやすく、より重い負荷やボリュームにも耐えられる。
この時期に「伸ばせなかったら、いつ伸ばすのか」というくらい、前向きな設計が求められる。
普段と大きく変える必要はないが、攻める意識を持つことが鍵になる。
設計のポイント
- 扱う重量を少しずつ上げていく
→ 1〜2.5kgでもいい。数ヶ月で見れば大きな差になる。 - コンパウンド種目を軸に
→ ベンチプレス・スクワット・デッドリフト・懸垂など。
→ 神経系の成長や全身の筋量アップに効果的。 - セット数・頻度を増やしてみる
→ 回復力が高まる時期だからこそ、少し“攻めた設計”が可能。
→ 週5〜6回、各部位2〜3回/週のトレーニングも現実的。 - テンポや収縮を意識した丁寧なトレーニング
→ 雑になりがちな時期。重さを追うほど、フォームへの意識が重要に。
減量期は「守る」ためにトレーニングを行う。
バルク期は「攻めて伸ばす」ために使いたい。
栄養素パート|“筋肉になる栄養”の選び方

Photo by Orkun Orcan on Unsplash
バルクアップは、ただ食べればいいわけじゃない。
必要なのは「筋肉に届く栄養」を選ぶ力だ。
エネルギーが余りがちなこの時期こそ、何を食べるかが結果を大きく分ける。
脂肪をなるべく増やさず、質の高い筋肉をつくるための栄養戦略を整理しておこう。
筋合成を高める栄養素
- タンパク質(P)
→ 筋肉の原材料。体重1kgあたり2g前後が目安。
→ 鶏むね肉、卵、ギリシャヨーグルト、大豆製品など。 - 炭水化物(C)
→ トレーニングのエネルギー源かつ回復サポート。
→ 白米、全粒パン、果物、根菜類などを中心に。 - 脂質(F)
→ ホルモン分泌や吸収を支える。極端な制限は逆効果。
→ オリーブオイル、ナッツ類、卵黄、青魚など。
代謝と回復を支える“見落とされがちな”栄養素
- ビタミンB群・C
→ エネルギー代謝や免疫サポートに不可欠。
→ 緑黄色野菜、フルーツ、納豆、海苔など。 - マグネシウム・亜鉛
→ 睡眠や神経系、テストステロンの維持にも関わる。
→ 海藻、ナッツ、魚介類、カカオなどに多く含まれる。
食べる量ではなく、筋肉に届く中身をどう整えるかがバルク成功の鍵になる。
ちなみに、バルクアップにはクリーンバルク、リーンバルク、ダーティーバルクなど、いくつかの“方向性”がある。
自分に合った増量スタイルを見つけることも、成果を左右する大切な視点だ。
栄養やトレーニングだけでなく、“どう増やすか”という考え方にも、違いがある。
各バルクアップ方法の特徴や向き不向きを知りたい方はこちら
→設計するバルクアップ──“増やす”前に、考えるべきこと
サプリメントパート|ベースと“必要に応じて”使いたいもの

Photo by Aleksander Saks on Unsplash
基本は食事。
だが、現実として毎日すべてを食事だけで賄うのは難しい。
そこで頼れるのが、「補助」ではなく「整える」ためのサプリだ。
バルクアップ期には、回復や合成を支えるものをベースに、
必要に応じて“攻めの補助”をプラスしていくのが賢いやり方だ。
ベースとして整えるサプリ
- プロテイン(ホエイ・カゼイン)
→ タンパク質補給の基本。食間・トレ後に活用。 - クレアチン
→ 高強度トレーニングの出力を上げる+筋量の増加をサポート。
→ 毎日5g継続でOK(タイミングは自由) - マルチビタミン&ミネラル
→ 食事では不足しがちな栄養を網羅的にカバー。
条件付きで取り入れたいサプリ
- カーボドリンク(マルトデキストリン等)
→ トレ前後や増量後半で食欲が落ちたときに便利。
→ 食事から摂りづらいエネルギーを補える。 - 消化酵素・プロバイオティクス
→ 摂取量が増えるぶん、胃腸へのケアも重要になる。 - アシュワガンダ・ZMA
→ 睡眠・回復・ホルモン環境の安定をサポート。
→ ナチュラルに整えたいトレーニー向け。
サプリは「攻めの一手」。
土台を整えたうえで、必要に応じて選び抜く。
まとめ|“増やす”ことは、設計すること

Photo by Nadin Mario on Unsplash
バルクアップは、ただ食べて、鍛えて、寝るだけの期間じゃない。
筋肉を“どう増やすか”、その質を“どう高めるか”を考える時間だ。
余計な脂肪をなるべくつけず、
強く、美しく、そして続いていく体をつくるには、
食事・トレーニング・回復の「全体設計」が欠かせない。
だからこそ、整える。
今後の伸びしろごと、積み上げていけるように。