哲学者ニーチェが遺した強さのかたち
トレーニングを続けていると、迷いや停滞にぶつかることがある。
思うように成果が出ない日。疲れてやめたくなる日。
そんなとき支えになるのが、哲学者フリードリヒ・ニーチェの言葉だ。
彼の思想は難しく見えるが、本質はシンプルだ。
「人は自分の力で、自分を超えていける」
その考え方は、人生にもトレーニングにも役立つ指針になる。
目次 閉じる
ニーチェとはどんな人物か

ニーチェをイメージした生成画像
1844年、ドイツに生まれた哲学者。
幼いころに父を亡くし、病弱で孤独な日々を過ごした。
それでも彼は、自分の哲学を書き続けた。
「神は死んだ」と語り、人は自分で生きる意味をつくるしかないと突きつけた。
彼の人生は苦しく、晩年は精神を病んで崩れていった。
それでも残した言葉は、今も多くの人に力を与えている。
ニーチェの哲学とその意味
超人──昨日の自分を超える者
他人の価値観に頼らず、自分の基準で進み続ける人間のこと。
英雄ではなく、昨日の自分を超えようとするすべての人を指す。
力への意志──成長したいという本能
人は誰もが「もっと成長したい」という衝動を持っている。
その気持ちを抑える必要はない。肯定し、力に変えていくべきだとニーチェは言った。
永劫回帰──今日を繰り返せるか
「今日の行動を、永遠に繰り返すとして愛せるか?」という問い。
毎日の選択を誇れるかどうかが、人生そのものを形づくる。
トレーニーにどう活かすか
超人──小さな成長を積み重ねる
筋肉は一晩で大きくならない。
1日の小さな前進が、後になって大きな差になる。
昨日より少しでも進めたなら、それは確かな成長だ。
停滞を抜ける力は、この積み重ねにある。
力への意志──変わりたい気持ちを行動に変える
「変わりたい」と思う気持ちは、すでに変化の始まりだ。
その感情を否定せず、行動に結びつければ未来は動き出す。
ベンチに座ってもがく時間も、食事に気を配る習慣も、
すべては「変わりたい」という意志が形になったものだ。
永劫回帰──選んだ日を誇る
辛い日やうまくいかない日もある。
それでも「自分で選んだ1日だ」と思えれば、その日は価値がある。
完璧でなくてもいい。
選び抜いた日を積み重ねていくことが、自分の人生を形づくる。
結び
ニーチェの哲学は、机上の理屈ではない。
「昨日を超える」「成長したい気持ちを肯定する」「今日を選び抜く」
この3つは、トレーニーの日常にもそのまま生きる。
鍛える時間は、ただ筋肉をつくるだけじゃない。
人生をどう生きるかを、毎日選び直している時間でもある。
明日、どんな自分を選ぶか。
その姿勢こそが、ニーチェの語った「超人」の道につながっていく。
参考文献・参考サイト
- スタンフォード哲学百科事典(Stanford Encyclopedia of Philosophy)|フリードリヒ・ニーチェ
https://plato.stanford.edu/entries/nietzsche/ - フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』岩波文庫
- フリードリヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』中央公論新社
- Rüdiger Safranski, “Nietzsche: A Philosophical Biography”
- ウィキペディア(日本語版・英語版)|https://ja.wikipedia.org/wiki/フリードリヒ・ニーチェ
NEXT STEP